『光が死んだ夏』――友だちの顔をした“ナニカ”と歩く、背筋の冷える青春

ある夏、友だちが「友だちの顔のまま」帰ってきた。なのに確かに“人じゃない”。――『光が死んだ夏』は、青春の距離感にホラーの異物感を混ぜ込んで、読者の胸をじわじわ締め付ける物語だ。よしきと光は同じ集落で育った幼なじみ。けれど光とすり替わった「ナニカ」――ヒカルが隣に立つ日々は、優しさと恐怖が同じ温度で同居している。 WEBエース

今回の巻では、ヒカルが“あの世からこちら側へ戻る”方法を探していることが前に出る。よしきの「お願い」を叶えるため、ヒカルはひとつの通り道を見つけるが――その発見は救いであると同時に、取り返しのつかない選択肢にも見える。よしきは光を失った痛みを抱えたまま、それでも隣にいてほしいと願ってしまう。理屈では危険だと分かっていても、感情は簡単に手放してくれない。その矛盾が、この作品のいちばん残酷で、いちばんリアルなところだ。 WEBエース

一方で、よしきの身体に広がる痣が不穏さを加速させる。ヒカルに寄り添うほど、人間としての境界が薄れていくような感覚。暮林はそんなよしきを案じ、「次の穴は自分が閉じに行く」と提案する。しかしその背後には、とある人物の思惑もちらつく。集落という閉鎖空間の中で、誰が味方で誰が利用者なのかが曖昧になり、恐怖は怪異だけでなく“人の意思”としても立ち上がってくる。 WEBエース

『光が死んだ夏』が上手いのは、派手な驚かしより先に、会話の間や視線のズレで不安を育てる点だ。ヒカルはよしきの願いを叶えようとする。けれどそれは善意なのか、帰還のための取引なのか。よしきは「光の記憶」を抱えながら、目の前のヒカルに心を寄せてしまう。友情の顔をした依存、救いの顔をした侵食。読んでいると、胸の奥に冷たい水が溜まっていくような感覚になる。

そして巻末の描き下ろし短編が効く。よしきが“生前の光”の記憶を振り返ることで、失ったものの輪郭がはっきりしてしまう。怖いのは怪異ではなく、当たり前だった日常がもう戻らない事実だ、と静かに突きつけられる。だからこそ次のページをめくる手が止まらない。 WEBエース

ここまで来たら、読むべきポイントは二つ。ひとつは「通り道」が示す“帰り方”が、本当に光へ繋がるのか、それとも別の穴へ落ちるのか。もうひとつは、よしきの痣がどこまで広がり、何を代償として差し出すのか。どちらも答えが出た瞬間に取り返しがつかない。だから、今の不穏な均衡のうちに追いかけたい。


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夏の終わりに置き去りにされたのは、光だけじゃない。よしき自身の“人間らしさ”も、少しずつ削れていく。優しさで繋ぎ止めた関係が、いつか刃になるかもしれない。それでも一緒にいたいと思ってしまう――この感情の地獄を、あなたも覗いてほしい。まずは楽天ブックスで『光が死んだ夏』を検索して、試し読みから。読み始めたら、きっと戻れない。

読みどころは、恐怖の正体を「説明」しきらないところにもある。穴とは何か、通り道の先に何があるのか――言葉で断定されない分、読者はよしきと同じ視界で手探りを続ける。集落の空気もまた不気味だ。外から来た者を拒むような沈黙、噂が一瞬で回る閉鎖性、善意がすぐ監視に変わる距離感。怪異が起きているのに、誰も大声で騒げない。その「静かさ」が一番怖い。

ヒカルは、光のように笑い、光のように寄り添う。だが、ほんの一言の選び方、ほんの一瞬の間で“違う”が滲む。よしきがそれに気づきながらも目を逸らしてしまうのは、友だちを失った痛みが大きすぎるからだ。だからこの作品は、ホラーでありながら喪失の物語でもある。読み終えたあとに残るのは、怖さよりも、取り返しのつかない寂しさだ。

今巻の描き下ろし短編を読んだあと、1巻の最初に戻ると、光とよしきの何気ない言葉が別の意味に聞こえるはずだ。伏線というより、記憶の重なりが恐怖を増幅させるタイプ。まとめて追うほど効いてくるので、空いた時間に一気に進めたい人にも向く。

怖いのに、ページを閉じられない。理由は簡単で、「答え」を知りたいからではなく、「光だったもの」と一緒にいる時間を、よしきと同じように手放したくなくなるからだ。だからこそ、試し読みで引っかかったら、そのまま続きを追ってほしい。

夜に読むと、窓の外の音まで不安に変わる。夏の湿度と、集落の静けさと、友だちの“偽物”が並ぶ居心地の悪さを、ぜひ体感してほしい。
楽天ブックスで検索して、今の巻まで追いつこう。続きは逃げない。今夜、読む。